DMCAとプロバイダ責任制限法

DMCAと言うのは主にネット上のコンテンツの著作権に関するアメリカの法律です

プロバイダ責任制限法というのは主にネット上でのプライバシーの侵害やコンテンツの著作権に関する日本の法律です

 

 

DMCAと言えば、2017年8月に起きたWantedly株式会社の炎上騒動で知ったという人も多いと思います

Wantedly炎上騒動

Wantedly炎上騒動というのは、同社の上場と株式公開(IPO)に対して少々批判的な分析をした記事に対して、DMCAに基づく削除依頼をGoogleやTwitterに行い、Googleの検索結果から当該記事が除外されてしまいました

それに対して、DMCAを悪用した言論封殺ではないかと批判を集めてしまい、結果、ウォンテッドリー株式会社を批判する記事が多く出てきてしまったという「消せば増える」の典型的事例になってしまった騒動のことです

 

ただこのとき

なんで日本の会社であるWantedlyが、日本人が日本国内で書いた記事に削除依頼をするのにアメリカの法律であるDMCAが出て来るん??

と一瞬疑問に思ったのですが、削除依頼先がGoogle(Alphabet Inc.)とTwitter(Twitter Inc.)というアメリカの会社だったからということですね

DMCAとは??

DMCAというのは、正式名称がデジタルミレニアム著作権法(Digital Millennium Copyright Act)という2000年に施行されたアメリカの法律です

アメリカの法律ではありますが、Googleが神として君臨している日本のネットでもデジタルコンテンツに関する事実上の基準となっています

 

もし、ネット上で著作権などの権利やプライバシーを侵害された!!!となった場合、GoogleのSearch Consoleに登録していればオンラインフォームから著作権侵害の報告が出来ます

 

そして、DMCAの一番の特徴がNotice and Take Down(ノーティス・アンド・テイクダウン)という明確でわかりやすい手続きの方法です

これは、著作権者から権利侵害の申し立てがあった場合、電気通信事業者、インターネット接続事業者であるISP(インターネット サービス プロバイダ)は本当に権利の侵害があったかどうかの判断は行わず、とりあえずコンテンツを削除する

その後、権利を侵害したとされる人に権利侵害の申し立てがあった旨を通達し、一定期間内に異議申し立てがない場合は削除したまま

権利を侵害したとされる人から異議申し立てがあった場合は、その旨を著作権者に通達し、反論がない場合はコンテンツを復活させる

という手続きのことです

プロバイダ責任制限法とは??

プロバイダ責任制限法とは、正式名称を「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」という2002年に施行された日本の法律です
(正式名称長い……)

プロバイダというのはISPだけでなく、サイトの運営者や掲示板(BBS)の管理人なども含まれます

なのでこのLowerLeft.WorksというWebサイトを運営している僕もここで言う「プロバイダ」に含まれます

 

そして、プロバイダ責任制限法というのは、字の通りプロバイダの責任を制限してあげますよという法律です

権利やプライバシーを侵害された!!!と訴える人と事実を書いただけだ!!!という発信者の板挟みになって可哀想だから一定の条件下では免責してあげますよということですね

両者から責任を追求されかねませんからね、、、
(中間管理職か…w)

一定の条件下というのは

 

・権利侵害した情報の送信を止めることが技術的に不可能な場合

・その情報が流通することで誰かの権利を侵害することを知らなかった場合

・権利を侵害する情報の流通を阻止する措置をとっていた場合

 

です

 

適用範囲はネット上のWebサイトや掲示板など、ネット環境があれば誰でも見れてしまう通信が対象になります

「放送」の場合は放送法が適用されるため対象外になります
(ニコ生とかAbemaTVはどうなるんだろう…??)

 

そして、プロバイダ責任制限法にもNotice and Take Down(ノーティス・アンド・テイクダウン)があります

ただし、プロバイダ責任制限法の場合、DMCAと違う点があります

DMCAの場合は権利侵害の申し立てがあった場合即座に情報の削除が出来ますが、プロバイダ責任制限法の場合は

 

・権利侵害の申し立てに正当な理由があればコンテンツの削除をしても発信者(権利侵害をしたとされる人)に対する責任をプロバイダは負わない

・権利侵害の申し立てがあった旨を発信者に通達し、7日以内に反論がない場合に情報、コンテンツの削除が出来る

 

つまり、誰がどう見ても権利を侵害しているとわかる場合か、明確に権利が侵害されたことを被害者側が証明出来ない場合は即座に情報、コンテンツの削除が出来ないわけです

この部分がDMCAと違い、被害者側が不利になってしまってます

権利とインターネット

現代にいてインターネットというのは水道や電気、交通手段などと同じようにインフラ化しています

誰でも使えるが故にネット上での権利侵害も起こりやすくなっています

著作権やプライバシーを侵害された場合の対処はもちろん、謂れのない申し立てをされた場合の対処も仕組みや法を知っていれば応戦出来ます

 

法は自ら助く者を助く

 

とリーガルハイの古美門研介も言っていましたねw