1章-1.梛木 構造-Dead=Code

1.梛木 構造

最悪な夢からは覚めたが、こちら側もあまりいいものではない

 

「おはようございばきゅ!!!6月22日13時19分ばきゅ!!!」

 

五月蝿い奴をONにしたままだった…

うさぎ型AIの「ばずきゅん」だ

 

「本日の予定は、、、ニートばきゅ!
構造さん…ニートは予定じゃないばきゅ!!!生き様ばきゅ!!!」

 

うるせぇ…

拒絶の意思で軽く手を振る

こちらの脳波を読んでばずきゅんが消える

完璧とは言えないが、大抵のことは脳波を読んでやってくれる

更に、パターンを学習し勝手に最適化して行く

鬱陶しいキャラ設定には閉口しているが、変えるのも面倒だ

 

静かになったところで、最悪な気分は変わらない

 

メールが来ている

どうせ仕事の依頼だろう

ベーシックインカム(BI)があるのにわざわざ働きたくない

金が足らなくなったら適当に描けばいいや

 

構造は画家である そして、クズである

 

絵の依頼は、アナログが多い

金持ちの調度品として需要があるのだ

 

このテクノロジー全盛の時代にご苦労なことである

ホロでいいだろ…と構造は画家のくせに思っている

 

金持ちというのは何故だかわからないが、芸術にかなりのコンプレックスを抱いている…様に構造には見える

金で感性は買えないからだろうか

 

2053年6月22日

地上10946m、本日も快晴